超現実派の散歩
東郷青児
手袋と靴下を片方だけ身につけ、月にむかって浮かぶ人。不思議な魅力によって当館のシンボルマークにも採用されている本作を、東郷は日本にシュルレアリスム絵画の紹介が始まった翌年の二科展に出品しました。しかし、東郷自身は、雑誌のアンケートに「僕らの仕事を超現実派と呼称するのなら、少なくとも僕は閉口する」(『アトリヱ』1930年1月)と応えています。「超現実派の散歩とは、散歩のつもりで超現実主義の試運転をやった意味である。僕は超現実派の中に含まれている時間、空間、nostalgieなどを一番鋭敏に感じる。理論は嫌ひだが、唯純粋にそれだけを摘出してみたい」(『東郷青児画集』1931年)。
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