鳥と少女
東郷青児
甘美な「東郷様式」の典型的な一点です。ふせた長いまつげと薄桃色の唇が印象的な表情は、戦後の街角を飾った壁画のなかに数多く描かれました。1950年代に均整のとれた独特な人物像のプロポーションを作りあげた東郷は、その後は背景とあいまって抽象画に見えるほどデフォルメと装飾化を進めていきました。「東郷様式」とは、評論家の植村鷹千代氏がまとめた次の3つの特徴のことをさしています。①誰にでもわかる大衆性 ②モダーンでロマンチックで優美、華麗な感覚と詩情 ③油絵の表現技術にみられる職人的な完璧さと装飾性(『回顧 東郷青児展』1979 年)。
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