レダ
東郷青児
レダは、ギリシャ神話に登場するスパルタ王の妻の名であり、彼女を愛した主神ゼウスは白鳥に姿を変えて交わったとされる。東郷の主な興味は、神話の具体的な内容よりも、理想的な裸婦像を公的な展示にふさわしい品格で描くことにあったと思われ、画業を通じてもっとも華やかで幻想的な印象に仕上げられている。背景の葉のような形はすでに1950年代からデザイン画などに用いられ、油彩画にも部分的に取り入れられていた。しかし、画面全体に、しかも奥へ沈み込むようにボカシて描かれるのは、本作と同じ1960年代後半からである。東郷は同じモチーフを複数描くことがあり、本作も同様の構図の「女と白鳥」という油彩画が八戸市美術館に所蔵されている。
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