安田火災南米保険営業案内原画(キク)
東郷青児
春の華やかな桜と、秋の凛とした菊の組み合わせ。背景に伝統的な和柄の霞(かすみ)を配し、東郷青児にしては珍しく”和風”を前面に打ち出した油彩画である。この作品は、1959年にブラジルのサンパウロに出店した日本の損害保険会社のパンフレットのためのデザイン画であった。日本ならではの繊細なモチーフを描きつつ、単純で明快な造形と安定した構図によってモダンな印象に仕上がっているといえよう。パンフレットの発行元「南米保険株式会社」には、安田火災が一部出資していた(『80年史 安田火災海上保険株式会社』1968年, 576頁)。作品は白い瀟洒な額に入れられ、損保ジャパンの所蔵となっている。なお、パンフレットの実物は当館に未収。
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