チェッコの女
東郷青児
暖かそうな太い毛糸でざっくり編まれたタートルネック姿の女性。モノトーンにまとめて遠目に女性のシルエットを際立たせ、シックな雰囲気に仕上がっている。作品名から彼女がチェコの出身であり、画面左下の書き込みから「カテリーナ」という名前であることがわかる。知性を感じさせる表情に、強い眼差し、厚みのある唇、長い首、波打つ豊かな髪と、細く尖った爪。現実の人体とは異なるプロポーションで描かれているにもかかわらず、魅力を感じたであろうパーツを過不足なく配し、しかも違和感を感じさせずに仕上げるデフォルメは、東郷ならではのバランス感覚である。