東郷青児先生作(少女)第一回三越洋画大展覧会
東郷青児
昭和10(1935)年に日本橋の三越で開催された「第一回三越洋画大展覧会」に出品した油彩画の絵葉書である。東郷は個展の開催が増えて小品の売れゆきが伸びた1934年末から1935年の夏までの間に、空想で描くこのようなタイプの作品を集中して描いたという。画中の女性が身に着けているショールやエプロンは、フランスの牧歌的な風景画で有名なバルビゾンやブルターニュのような場所を想起させるが、よく見れば抽象的であり、背景と合わせてみても地域や時代を特定しがたい。あくまで室内を飾るために理想的な田園の光景を描いた作品だといえるだろう。