北海道風景
東郷青児
キュビスムを思わせる小品で、飛び立つ鳥の群れが詩情を添えている。タイトルに北海道とあるが具体的な場所はわからない。ただ、東郷のアルバムには帯広の「喫茶モーラ」の店先で撮った写真があるため、その近辺かもしれない。帯広の中心街では1950年代に喫茶店ブームがおこったが、なかでも1951年頃から1994年まで営業したモーラは店主の高橋天岷が書家で画家もあったことから文化人が集まり、東郷や坂本直行とも親交があったという*。坂本は十勝地方広尾で活動した画家であり、六花亭の包装紙の花々は彼の作である。
*「昭和40年代市内の喫茶店あれこれ!」「昭和40年代の喫茶モーラ」『帯広商店街かわら版いらっしゃい』第76号1頁、2007年2月28日発行