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【コレクション 】5月の「今月の一品」を公開しました

2021.05.01

1937年、油彩・キャンヴァス

微風

東郷青児

第24回二科展(1937年)に出品された本作は、東京火災から注文を受けて制作された装飾画である。楕円の油彩画は、日本では珍しいが、フランスでは18世紀の宮廷装飾に始まり、風景や植物、肖像画などに好まれてきた。とりわけ本作の白い額縁と女性像の淡い色彩は、同時代のパリの画家マリー・ローランサンの室内装飾画を思い起こさせる。東郷は晩年まで「ミニアチュール」と称して小さな円形の女性の絵を描き続けたが、その多くは丸くくり抜いた四角い額縁を普通のキャンヴァスに被せたものであった。キャンヴァスと額縁自体を楕円に成形したこだわりに、当時40歳だった東郷の意気込みが感じられる。東京火災は、営業用の印刷物にも本作を使用した。

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