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【コレクション 】6月の「今月の一品」を公開しました

2021.06.01

白水社、1931年10月20日発行、寄託:山田俊幸氏

『窄き門』
アンドレ・ジッド著、山内義雄訳

東郷青児

フランス語の語学書を専門としていた白水社は、1930(昭和5)年からフランス文学へ手を拡げた。本書もその1冊であり、東郷と編集者の江川正之(頴川政由紀)が連名で装幀を手がけている。東郷の装幀の理想は「鳥の子(紙)の漉きっ放しに精選された活字で見事に印刷して、大胆にも白地のままの装丁」というシンプルなものであり、書物が成立する最低限の要素の美にこだわった。それは、江戸以来の和装本から大量印刷に適した洋装本へ移行する出版界において、洋装本の本質を捉えた造本観であった。本書は1,000部印刷のうち130部に施された装革装の限定版である。表紙の幾何学模様は、型押しの上に彩色されている。
*『書物展望』第5巻4号、1935年

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