
1925年、油彩・キャンヴァス、46.9×39.2cm
ベッド
東郷青児
東郷が留学した1920年代のパリでは、のちに「古典回帰」と呼ばれる表現志向が台頭していた。それは、第一次大戦の戦禍を癒すように、純粋で普遍的な真理を探究した古代ギリシャの理念にいまいちど立ち帰ろうとする芸術であった。東郷が交流したピカソや藤田嗣治らも、この時期には重厚さ、簡素さ、純真な美しさなどを表そうとしていた。彼らに触発された東郷は、西洋美術の伝統を学ぶことにより、20世紀の感性に合う幾何学的な形態把握と、渋く落ち着いた色彩で構成する独自の世界を掴んでいった。「この絵は完全にクラスィズムの影響を受けてゐる。これを描いた頃は、殊に熱心にルーヴルへ日参してゐた」(『東郷青児画集』第一書房、1931年)
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