赤いベルト
東郷青児
なだらかな肩のライン、絞りこんだウエスト、丈の長いフレアスカートは、1947年にクリスチャン・ディオールがパリで発表した「ニュー・ルック」の特徴である。布地を贅沢に使って女性のボディラインを強調したシルエットは、第二次大戦からの復興への願いをこめて「平和のシンボル」とも呼ばれ、1950年代までファッションを牽引した。パリにとって大切な市場であったアメリカでも、グレース・ケリー、マリリン・モンロー、オードリー・ヘップバーンら往年のスター達がこの華やかなスタイルに身を包み、舞台や銀幕の上で人々を魅了した。東郷は戦前から欧米の女優達に興味を持っており、作品に描かれた女性達の顔にも当時の流行が刻み込まれている。
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