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【コレクション 】10月の「今月の一品」を公開しました

2022.10.03

1959年、油彩・キャンヴァス、116.1×90.7cm

『望郷』

東郷青児

古代ギリシャ風の遺跡とスカーフを被った女性は、東郷が戦前から好んだモチーフである。終戦後に同じ組み合わせを描いて二科展へ出品した《南風》(1948年)について、東郷は次のように述べた。「特にどこの風俗というわけでもない。南イタリアでも南フランスでも、伊豆の大島でも良いのである。明るい空と新鮮な微風、これは常に私の懐いている憧れでもある。このような明るい空のもとで、明るい明日をいつも想像したい」(「二科展 南風」新大阪新聞1948年10月28日夕刊)。しかし、本作の空は暗く、《南風》ではきっぱりと顔を上げていた女性も俯いて故郷へ思いを馳せている。1950年代に東郷が取り組んだ人々の生活感情の表現を取り入れた代表作のひとつといえよう。

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