
1926年、油彩・キャンヴァス、46.4×38.7cm
花をいける女
東郷青児
東郷青児は1921年(24歳)から1928年(31歳)までの7年間をフランスで過ごした。この作品はパリの一室でテープルの上の花瓶に花を生ける女性を描いている。窓から見えるのはエッフェル塔。女性の前髪を切りそろえた栗色の髪は1929年に第16回二科展に発表した《窓》に描かれた女性ともよく似ており、この頃に東郷が一緒に暮らしていたという実在の人物がモデルかもしれない。とはいえこの作品では人物の顔立ちや個性よりも、キュビスムを思わせるモチーフの造形や画面構成が興味の中心になっている。